1回の賭けで、確率 p で賭け金の b 倍を得て、確率 q = 1 − p で賭け金を失うとします。
手持ち資金のうち比率 f(0以上1以下)を毎回張ると、資金は勝てば 1 + bf 倍、負ければ 1 − f 倍になります。
ここで大事なのは、資金は足し算ではなく掛け算で動くということです。 1回目に2倍になり2回目に半分になったら、平均すれば +25% ですが、実際の手持ちは元に戻っているだけです。 掛け算で動くものの「長い目で見た速さ」を測るには、平均ではなく対数の平均を見る必要があります。
この g(f) を最大にする f が、ケリー基準の答えです。
g(f) を f で微分してゼロと置くと、途中式は次のようになります。
分子がそのまま期待値になっているのが、この式のいちばん重要なところです。
1を賭けたときの期待収支は b·p − q なので、これが0以下、つまり期待値がマイナスかトントンなら
f* は0以下になります。数式が「賭けるな」と答えている状態です。
勝率と配当を入れると、ケリー比率・そのときの成長率・自分で決めた比率での成長率・ 成長率がちょうどゼロになる比率(ここを越えると長期では減る)を計算します。
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「n回後の資金(中央値の目安)」は en·g(f) です。
平均値ではありません。平均は一部の極端に大きい結果に引っ張られるので、
「自分に起きやすい結果」を見たいときは中央値側で見るほうが実態に近くなります。
控除率のあるゲームでは b·p − q が必ずマイナスになります。
たとえばヨーロピアンルーレットの赤に張ると p = 18/37、b = 1 なので、
エッジは 18/37 − 19/37 = −1/37 ≒ −2.70%(※このページ内の数え上げによる実測値)。f* はマイナスになり、
「最適な行動は張らないこと」以外の答えが出ません。
賭け金の増やし方をどう工夫しても、この符号は変わりません(→ベッティングシステム検証室で5種類を実測しています)。
成長率 g(f) は上に凸の形をしていて、f = 0 でゼロ、f = f* で最大、
そしてその先でもう一度ゼロに戻ります。上の計算機の「成長率がゼロになる比率」がその点です。
イーブンマネー(b = 1)のときは、この点がおよそ 2·f* になります。
ケリーの2倍を張ると、勝てる賭けなのに長期では増えないということです。
それ以上張れば、期待値がプラスのまま資金は減っていきます。
成長率の曲線は f* の近くで平らです。f* の半分しか張らなくても、
成長率は最大値の およそ4分の3 が残ります(計算機で f を半分にして確かめられます)。
一方で、資金が途中で大きく凹む幅は目に見えて小さくなります。
速さをわずかに手放して、揺れを大きく減らす——これがハーフケリーと呼ばれる運用です。
勝率55%・イーブンマネー(b = 1)で考えます。エッジは 1×0.55 − 0.45 = 0.10、
つまり1を賭けるたびに平均 0.10 だけ増える、はっきり有利な賭けです。ケリー比率は 0.10 / 1 = 10%。
このとき1回あたりの成長率は約 0.00501 で、100回続ければ資金はおよそ 1.65 倍です(※上の計算機で実測)。
| 張る比率 f | 1回あたりの成長率 g(f) | 最大値に対する割合 | 100回後の資金 |
|---|---|---|---|
| 5%(ハーフケリー) | +0.00375 | 約75% | 約1.45倍 |
| 10%(ケリー f*) | +0.00501 | 100%(最大) | 約1.65倍 |
| 20%(ケリーの2倍) | −0.00014 | 0% | 約0.99倍 |
| 40% | −0.03200 | — | 約0.04倍 |
※ 表の値は p=55%・b=1 を上の計算機に入れて得た実測値です(2026年9月時点のこのページの実装。小数第5位で丸め)。横にスクロールできます。
勝率も配当も一切変えていないのに、賭け金の比率を 10% から 40% に上げただけで、 増える賭けが減る賭けに変わります。上の計算機に同じ数字を入れれば、この4行はそのまま再現できます。
p を自分に都合よく見積もれば f* は簡単に過大になります。
ケリー基準は「見積もりが正しければ」という条件つきの最適解です。f < 1 である限り資金がゼロにならないことを前提にしています。
現実にはテーブル上限・資金の下限・回数の上限があります。このページの数式はすべてこの画面内で導出しています(外部の出典に依存していません)。 成長率がゼロになる比率は、閉じた式ではなく二分法による数値解として計算しています。
f* = (b·p − q) / b。分子は1を賭けたときの期待収支そのものなので、期待値がマイナスなら答えは「張らない」になります。p の見積もりです。p を甘く見れば f* はいくらでも大きく出ます。上の計算機で、まず自分がふだん張っている比率を f に入れて試してみてください。
成長率が0以下と出たら、勝率や配当ではなく賭け金の大きさだけが原因です。
控除率のあるゲームでそもそもエッジが取れるのかは、還元率ラボで種目別に確認できます。