勝負ラボ / ベッティングシステム検証室

ベッティングシステム シミュレーター
— 5つの賭け方が「なぜ破綻するのか」を実測する

このページについて:ここは賭け方(ベッティングシステム)の数学的な性質を検証するための学習ツールです。 現金・賭け金・賞金・ポイント等を一切扱わず、換金・出金の仕組みもありません。 画面に表示される「円」はすべてシミュレーション上の数値で、実際の金銭のやり取りは発生しません。 オンラインカジノ等の紹介・誘導も一切行いません。
先に結論を書きます。ここで扱う5つの方法は、どれも期待値をプラスにしません。 賭け金の増やし方をどう工夫しても、期待される損失は「賭けた総額 × 控除率」から動きません。 そのうえ資金にもテーブルにも上限があるので、続ければいつか必ず続行不能になります。 このページは「勝てる攻略法」を紹介する場所ではなく、なぜそうなるのかを自分の手で確かめる場所です。

「マーチンゲール法なら理論上は負けない」「モンテカルロ法は数列で管理するから堅実」—— こうした説明は、資金が無限にあり、テーブルに上限がないという現実には存在しない前提の上でだけ成り立ちます。 このシミュレーターは、初期資金・ベース賭け金・テーブル上限・ゲームの控除率を自分で入れて、 1回プレイで1ゲームずつ確かめ、一括試行で同じ設定を1,000回まとめて回した結果を見るためのものです。

すべての賭け方に共通する、たった1本の式

先に、この検証室でいちばん大事な事実を書いておきます。

E[収支] = −(控除率) × E[総ベット額] 賭け金がその回の結果を知らずに決まる限り、賭け方によらず必ず成り立つ

理由は単純です。1回のゲームの期待収支は「そのゲームの賭け金 ×(−控除率)」です。 そして賭け金は過去の結果だけを見て決めるので、これから出る目とは無関係に決まります。 だから期待値を足し合わせると、上の式になります。 ——この式のどこにも「賭け方」は登場しません。 賭け金の決め方をどう変えても、期待される損失は「賭けた総額」と「控除率」だけで決まります。

ベッティングシステムにできるのは、損益のばらつきの形を変えることだけです。 マーチンゲール法は「小さくたくさん勝って、たまに全部失う」形に、 パーレー法は「小さくたくさん負けて、たまに大きく勝つ」形に変えます。 平均は、どちらも同じだけマイナスです。

5つのシステムの比較

システム賭け金の決め方増え方向くゲーム破綻の形
マーチンゲール法負けたら2倍/勝ったらリセット指数(2倍)1:1(赤黒など)数回の連敗で即・続行不能
モンテカルロ法数列の両端の和/勝ちで両端を消すゆるやかに加速1:1・2:1数列が伸び続けて賭け金が膨張
ダランベール法負けたら+1単位/勝ったら−1単位線形1:1(赤黒など)じわじわ減って戻らない
パーレー法勝ったら2倍/負けたらリセット指数(勝った時だけ)1:1(赤黒など)破綻はしにくいが着実に減る
ココモ法直前2回の賭け金の和フィボナッチ(約1.618倍)2:1(ダズンなど)勝率が低く連敗が長い
※ 表は横にスクロールできます。

マーチンゲール法

破綻リスク 大勝率は高く見える

負けるたびに賭け金を2倍。1回勝てば全部取り返せる——ただし必要な資金は連敗数に対して指数で増えます。

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モンテカルロ法

破綻リスク 中数列で管理

[1,2,3] の数列の両端を足した額を賭け、勝てば両端を消す。数列が消えれば1サイクル完了です。

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ダランベール法

破綻リスク 中前提が誤り

「負けた分はいつか取り返される」という前提そのものが誤りです(ギャンブラーの誤謬)。

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パーレー法(逆マーチンゲール)

破綻リスク 小勝率は低い

勝った時だけ賭け金を倍にする。1サイクルで失うのは基準額だけですが、連勝の確率は急速に下がります。

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ココモ法

破綻リスク 大3倍配当専用

直前2回の賭け金を足す(フィボナッチ)。増え方は緩やかですが、勝率が約32%しかないのが致命的です。

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まずは全部まとめて試す

この下のツール

下のシミュレーターは5種類すべてを切り替えられます。「公正なコイン(控除率0%)」も選べるので、 負けの原因がシステムなのか控除率なのかを切り分けられます。

ベッティングシステム シミュレーター(5種)

初期資金・ベース賭け金・テーブル上限・最大ゲーム数を決めて実行します。 1回プレイは1ゲームずつ手で進みます(自動再生は任意で、結果が勝手に流れることはありません)。 一括試行は同じ設定を最大5,000セッション回し、破綻率・収支の分布・期待値との一致を表示します。 乱数シードを入れれば、同じ結果を何度でも再現できます。

使い方の提案:3つの実験

以下の数字は、シミュレーターに乱数シード 20260902/セッション数 5,000 を入れれば、 そのままあなたの画面で再現できます(それ以外は下に書いた設定のとおり)。

実験1|「8割勝てる手法」を作ってから、合計を見る

マーチンゲール法・初期資金100,000円・ベース1,000円・テーブル上限20,000円・最大200ゲーム。 ここで「利益目標に届いたらやめる」に 5000 を入れて一括試行します。

プラスで終わったセッション83.6%(4,182 / 5,000)
収支の中央値+5,000 円
破綻したセッション16.4%(818 件)
1セッションの平均収支−576 円
5,000セッションの合計収支−288万円

8割以上のセッションが「+5,000円で勝ち逃げ」に成功しています。体感では明らかに勝てている手法です。 それでも合計はマイナス。残りの16.4%が1回あたり最大31,000円を失っているからです。 勝率と収支は別物——これがこのシミュレーターで最初に確かめてほしいことです。

実験2|控除率をゼロにしてみる

実験1とまったく同じ設定のまま、ゲームだけ「公正なコイン(控除率0%)」に変えて一括試行します。

プラスで終わったセッション85.7%
1セッションの平均収支+111 円(理論値 0 円)
破綻したセッション14.3%(716 件)

平均収支がほぼ0になりました。負ける原因はベッティングシステムではなく控除率です。 そのうえで破綻率は0になりません。資金とテーブル上限が有限である限り、 賭け金を増やし続ける方法はいつか必ず止まります。控除率0%でも「破綻」は消えない——ここが2つ目の要点です。

実験3|利益目標を外して、長く続けてみる

実験1から「利益目標」を 0(無効)に戻して一括試行します。 プラス終了は31.0%まで落ち、破綻率は98.0%、収支の中央値は−13,000円になります。 勝ち逃げのルールが消えただけで、見え方が正反対になりました。 やめ時のルールは分布の形を変えるだけで、期待値には触れていません——最初の式のとおりです。

よくある誤解

「理論上は負けない方法がある」

「資金が無限で、賭け金に上限がなく、時間も無限にある」ならマーチンゲール法は確率1で+1単位を得ます。 しかしこれは3つとも成り立たない仮定です。有限の資金でこの戦略を続けると、破産する確率は1に近づきます。 「理論上は負けない」の「理論」は、現実のテーブルには存在しません。

「連敗が続いたら次は勝ちやすい」

ルーレットにもコイントスにも記憶はありません。10連敗した直後の1回が赤になる確率は、 1回目とまったく同じ 18/37 です。これはギャンブラーの誤謬と呼ばれる、最も一般的な確率の錯覚です。 ダランベール法やモンテカルロ法の「負けた分を取り返す」という発想は、この誤謬の上に立っています。

「カジノがマーチンゲール法を禁止しているのは効くから」

ベット上限はもともとどのテーブルにも設定されているもので、特定の賭け方を狙って作られたものではありません。 そして上限があるだけで、この方法は成立しなくなります。禁止する必要がない、というのが実際のところです。

同じ検証を公営競技(競馬・競艇)でやると

カジノのゲームは配当が固定ですが、競馬・競艇はオッズが毎回変わります。 そしてマーチンゲール法やココモ法の性質は、このオッズだけで決まります。 オッズ2.0倍未満では「負けたら倍」が損失を取り返せないこと、 当たりやすい馬券ほど賭け金が速く増えることを、同じ形のシミュレーターで確かめられます。

この話をもっと深く知るための本

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当サイトは書籍・学習コンテンツのみを紹介します。オンラインカジノ等の賭博サービスへの誘導は一切行いません。
ここで扱っているのは「確率と期待値」の話なので、その背景を扱った定番書を挙げます。

ギャンブルのからくり 確率・統計であばく「必勝法」のウソ
谷岡一郎 ・ 講談社(ブルーバックス)
この検証室でやっていることを、統計学者が一冊かけて丁寧にやっている本。「必勝法」がなぜ成り立たないのかを、確率・統計の側から筋道立てて説明しています。
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天才数学者はこう賭ける 誰も語らなかった株とギャンブルの話
ウィリアム・パウンドストーン ・ 青土社
「資金の何%を賭けるべきか」という問い(ケリー基準)が、どこから生まれてどう使われてきたかの物語。ベッティングシステムの歴史そのものが読めます。
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まぐれ 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
ナシーム・ニコラス・タレブ ・ ダイヤモンド社
「8割のセッションはプラスで終わるのに、通算では負けている」がなぜ起きるのか。結果と実力を人がどう取り違えるかを扱った一冊。
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