勝負ラボベッティングシステム検証室 / マーチンゲール法

マーチンゲール法 シミュレーション
— 必要資金・破産確率・期待値を実測する

このページについて:賭け方の数学的な性質を検証するための学習ツールです。 現金・賭け金・賞金・ポイント等を一切扱わず、換金・出金の仕組みもありません。 表示される「円」はすべてシミュレーション上の数値で、実際の金銭のやり取りは発生しません。 オンラインカジノ等の紹介・誘導も行いません。
マーチンゲール法は「負けたら賭け金を2倍にし、勝ったら最初に戻す」という方法です。 1回でも勝てば、それまでの損失をすべて取り返して基準額1つ分だけ利益が出ます。 仕組みとしては本当にそうなります。問題は、その1回が来る前に賭け金が資金とテーブル上限を超えることです。

仕組みと数式

基準額を b とすると、n連敗した直後の状態はこうなります。

次に賭ける額 = b × 2n / それまでの累計損失 = b ×(2n − 1) ここで勝てば b×2ⁿ を得るので、差し引き +b。連敗が何回続いても、勝った瞬間の利益は基準額1つ分

つまり「勝てば必ず +b」は正しい。ここに嘘はありません。 嘘があるのは「だから勝つまで続ければいい」という続きの部分です。

何連敗でいくら必要になるか(基準額1,000円)

連敗を n 回まで耐えるには、賭け金の合計 b×(2ⁿ⁺¹−1) を用意しておく必要があります。 確率はヨーロピアンルーレットの赤/黒(勝率 18/37 ≒ 48.65%)で計算しています。

何回目その回の賭け金そこまでの累計投入直前までの累計損失そこまで全敗する確率
1回目1,0001,0000100%
2回目2,0003,0001,00051.35%
3回目4,0007,0003,00026.37%
4回目8,00015,0007,00013.54%
5回目16,00031,00015,0006.95%
6回目32,00063,00031,0003.57%
7回目64,000127,00063,0001.83%
8回目128,000255,000127,0000.94%
9回目256,000511,000255,0000.48%
10回目512,0001,023,000511,0000.25%
11回目1,024,0002,047,0001,023,0000.13%
12回目2,048,0004,095,0002,047,0000.065%
※ 表は横にスクロールできます。

ここで見てほしいのは右端の列と左から2列目の対比です。 1,000円を取りに行くために、11回目には100万円を賭けている。 そしてその状況は「0.13%しか起きない」ほど珍しくもありません。 0.13% は、だいたい784回に1回です。1晩に何十サイクルも回せば、すぐに出会う頻度です。

連敗の起きやすさ(ヨーロピアンルーレット 赤/黒)

連敗数確率おおよその頻度
5連敗3.571%28サイクルに1回
6連敗1.834%55サイクルに1回
7連敗0.942%106サイクルに1回
8連敗0.484%207サイクルに1回
10連敗0.128%784サイクルに1回
12連敗0.034%2,974サイクルに1回
15連敗0.0046%21,965サイクルに1回

破綻条件:現実のテーブルで何が起きるか

具体的な設定で見ます。初期資金10万円・基準額1,000円・テーブル上限20,000円。 このとき賭けられるのは 1,000 → 2,000 → 4,000 → 8,000 → 16,000 の5回までです。 6回目に必要な32,000円はテーブル上限を超えるので、5連敗した時点で続行不能になります。

1サイクルで破綻する確率3.571%
1サイクルの期待収支−142.6 円
1サイクルの期待総ベット額5,277.7 円
−控除率 2.70% × 5,277.7 円−142.6 円(=上と完全一致)
50サイクル続けて破綻しない確率16.2%
100サイクル続けて破綻しない確率2.6%

1サイクルの96.4%は「+1,000円」で終わります。だから体感としては「ほぼ勝てる」。 しかし残り3.6%で31,000円を失うので、平均すると1サイクルあたり142.6円のマイナスです。 そして100サイクル——1晩でも十分到達する回数——を回せば、97.4%の人が破綻します

注目してほしいのは、期待収支 −142.6円 が「−控除率 × 期待総ベット額」とぴったり一致していることです。 マーチンゲール法という賭け方は、この式に一切影響していません。 賭け方が変えられるのは損益のばらつきの形だけで、平均は「賭けた総額 × 控除率」から動きません。

バカラでマーチンゲール法をやると、勝っても損をする局面がある

あまり知られていない罠です。バカラのバンカーは配当が0.95倍(5%のコミッション)です。 n連敗後に勝ったときの純益を計算すると、こうなります。

純益 = b ×(1 − 0.05 × 2n配当が1倍を下回るゲームでは、倍にしても損失を取り返しきれなくなる
状況勝ったときの純益(基準額1,000円)
連敗なしで勝つ+950 円
2連敗後に勝つ+800 円
4連敗後に勝つ+200 円
5連敗後に勝つ−600 円
6連敗後に勝つ−2,200 円
8連敗後に勝つ−11,800 円

5連敗より深いところでは、勝っても損失が残ります。 「1回勝てば取り返せる」という前提そのものが、コミッションのあるゲームでは成立していません。 下のシミュレーターでゲームを「バカラ バンカー」に変えると、この挙動をそのまま観察できます。

マーチンゲール法 シミュレーター

1回プレイは1ゲームずつ手で進みます(自動再生は任意で、結果が勝手に流れることはありません)。 一括試行は同じ設定を最大5,000セッション回して、破産確率・収支の分布・期待値との一致を表示します。 乱数シードを入れれば同じ結果を何度でも再現できます。

試してほしい3つの設定

1|「勝率が高い」ことと「勝てる」ことは違う

初期値のまま(10万円/1,000円/上限20,000円/200ゲーム)で一括試行を実行してください。 プラスで終わるセッションの割合は高く出ます。それでも合計収支は大きなマイナスです。 ヒストグラムを見ると、右側に小さな山がびっしり、左側にぽつんと巨大な損失という形になっています。 これがマーチンゲール法の損益の形です。

2|テーブル上限を外してみる

テーブル上限を 100000000(1億)にして一括試行します。破綻率は下がりますが、 1回の破綻で失う額が桁違いになるため、合計収支は改善しません。 上限を外しても勝てるようにならない——このことが「上限さえなければ」という反論への答えです。

3|控除率をゼロにしてみる

ゲームを「公正なコイン(控除率0%)」に変えて一括試行します。平均収支はほぼ0になります。 負ける原因はマーチンゲール法ではなく控除率です。 そのうえで破綻率は0になりません。資金とテーブル上限が有限である限り、賭け金を倍にし続ける方法はいつか止まります。

よくある質問

資金が無限にあれば勝てるのでは?

「資金が無限」「賭け金に上限がない」「時間も無限」の3つがすべて成り立てば、確率1で +b を得ます。 これは数学的には正しいのですが、3つとも現実には存在しません。 有限の資金でこの戦略を続けた場合、破産する確率は試行を重ねるほど1に近づきます。

連敗が続いたら次は勝ちやすいのでは?

いいえ。ルーレットに記憶はありません。10連敗した直後でも、次に赤が出る確率は 18/37 のままです (ギャンブラーの誤謬)。マーチンゲール法が有効に見える理由の多くは、この錯覚から来ています。

カジノが禁止しているのは、効くからでは?

ベット上限はもともとどのテーブルにも設定されているもので、特定の賭け方を狙って作られたものではありません。 そして上限があるだけでこの方法は成立しなくなります。わざわざ禁止する必要がない、というのが実際のところです。