勝負ラボベッティングシステム検証室 / ダランベール法

ダランベール法 シミュレーション
— 前提が誤っている、いちばん静かな負け方

このページについて:賭け方の数学的な性質を検証するための学習ツールです。 現金・賭け金・賞金・ポイント等を一切扱わず、換金・出金の仕組みもありません。 表示される「円」はすべてシミュレーション上の数値で、実際の金銭のやり取りは発生しません。 オンラインカジノ等の紹介・誘導も行いません。
ダランベール法は「負けたら賭け金を1単位増やし、勝ったら1単位減らす」という方法です。 マーチンゲール法のように倍々にならないので賭け金は穏やかに動きます。 ただし、この方法が根拠にしている「負けが続いた分はいずれ勝ちで均される」という前提そのものが誤りです。

仕組みと数式

基準額を b、現在の段階を n(負けるたびに+1、勝つたびに−1、下限は0)とすると:

賭け金 = b × (1 + n) / n連敗したときの累計損失 = b × n(n+1) ÷ 2 賭け金は連敗数に対して「線形」、累計損失は「2乗」で増える
連敗数次の賭け金累計損失(参考)マーチンゲール法の次の賭け金
5連敗6,00015,00032,000
10連敗11,00055,0001,024,000
20連敗21,000210,0001,048,576,000
30連敗31,000465,000(天文学的)
※ 表は横にスクロールできます。基準額1,000円の場合。

前提が誤っている:ギャンブラーの誤謬

ダランベール法の説明にはたいてい「勝ちと負けはいずれ同じくらいの回数になるから、 負けた時に賭け金を増やしておけば取り返せる」という趣旨の理屈が添えられています。これは誤りです

ルーレットにもコイントスにも記憶はありません。10連敗した直後に赤が出る確率は、1回目とまったく同じ 18/37 です。 「回数が均される」ように見えるのは比率の話であって(大数の法則)、が均されるわけではありません。 むしろ回数を重ねるほど、勝ち数と負け数のは平均的に広がっていきます。 この錯覚はギャンブラーの誤謬として知られています。

「勝ち数=負け数なら利益が出る」は、実用版では成り立たない

ダランベール法の紹介でよく見かける主張です。全パターンを数え上げて確かめました。

賭け金を基準額より下げられる版(理論版)では、この主張は正しく成り立ちます。 勝ち数と負け数が同じ n ゲームなら、利益はつねに n ÷ 2 単位です(4・6・8・10ゲームで全パターンを確認)。 ただしこの版では、勝ちが続くと賭け金が基準額を下回り、やがてマイナスの額を賭けることになります。現実には不可能です。

賭け金を基準額より下げない版(実用版・このシミュレーターの実装)では、主張は成り立ちません。 8ゲームで勝ち4・負け4の全70パターンを数え上げると、結果は −6/−2/+1/+3/+4 単位に分かれます。

勝敗の並び(勝ち4・負け4)実用版の収支
勝 勝 勝 勝 負 負 負 負−6 単位
負 勝 負 勝 負 勝 負 勝+4 単位

同じ「勝ち4・負け4」でも、順番によって収支が10単位も変わります。 「勝率が5割に戻れば利益」という説明は、この時点で崩れています。

破綻条件と実測

ダランベール法は賭け金が急激には増えないので、テーブル上限にはなかなか到達しません。 代わりに資金がじわじわ削られて底をつきます。 次の数字は、下のシミュレーターで乱数シードに 20260902、セッション数に 5,000 を入れれば同じ結果が再現できます (ヨーロピアンルーレット赤黒/初期資金100,000/基準額1,000/最大200ゲーム)。

設定破綻率プラスで終了平均収支収支の中央値最悪平均総ベット額理論値
テーブル上限 20,000円56.5%39.0%−25,051−86,000−100,000875,156−23,653
目標 +5,000円で切り上げ7.8%92.2%−2,059+5,000−100,00084,129−2,274
下の行を見てください。92.2%のセッションがプラスで終わり、収支の中央値は +5,000円です。 ここだけ見れば「9割勝てる手法」に見えます。しかし平均収支は −2,059円で、 5,000セッションの合計は −1,029万円。 残り7.8%が破綻して、1セッションあたり最大10万円を失っているからです。 勝率と収支は別物——ダランベール法はその差がいちばん極端に出るシステムです。

そして平均収支 −25,051円 は、理論値「−控除率2.70% × 平均総ベット額875,156円 = −23,653円」とほぼ一致します。 賭け金を1単位ずつ動かすという工夫は、期待値に何も影響していません。

ダランベール法 シミュレーター

1回プレイは1ゲームずつ手で進みます(自動再生は任意で、結果が勝手に流れることはありません)。 一括試行は同じ設定を最大5,000セッション回します。乱数シードを入れれば同じ結果を何度でも再現できます。

試してほしい設定

1|総ベット額の大きさに注目する

初期設定のまま一括試行してください。平均総ベット額が87万円まで膨らみます。 初期資金10万円しかないのに、200ゲームで87万円を賭けている——これが「賭け金が小さいから安全」の実態です。 期待損失は「賭けた総額 × 控除率」なので、長く賭けるほど確実に削られます

2|「9割勝てる」を作ってから、合計を見る

「利益目標に届いたらやめる」に 5000 を入れて一括試行してください。 プラス終了は92.2%まで上がります。そのうえで表の「合計収支」を見てください。マイナスです。

3|控除率をゼロにする

ゲームを「公正なコイン(控除率0%)」に変えると、平均収支はほぼ0になります。 負ける原因はダランベール法ではなく控除率です。